田畑研究室|東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 電気系工学専攻 (兼)

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研究内容

Fe2O3(赤サビ)を用いた光電変換素子

ーありふれた材料で太陽光エネルギー変換素子をつくるー

ヘマタイトはいわゆる赤錆びであり、最も身近で目にすることが多い酸化物と言えるでしょう。この物質は室温で反強磁性(厳密に言うと寄生強磁性)を示す半導体で、約2.2eVのバンドギャップエネルギーを持っています。これは可視光のエネルギーに相当するため、古くから可視光応答型の光電変換素子(太陽電池)の候補材料として注目を集め、これまでに膨大な数の研究が行われてきました。10%以上の高い変換効率が達成されています。しかしながら、Fe2O4は可視光は吸収しますが、近赤外~赤外領域の光は透過してしまうため、太陽光エネルギーの大部分を無駄にしています。そこで我々は近赤外光への応答性の増大を狙い、 Fe2O4にロジウム(Rh)を添加することを考えました。

酸化ロジウムRh2O3(III)は、 Fe2O3と同じ結晶構造(コランダム構造)をとります。そのため、RhはFeサイトを置換し結晶性を低下させることはありません。また、Rh2O3はバンドギャップが0.6eVの半導体であるため、Rh量が増大すると、Rh:Fe2O3のバンドギャップは小さくなり、近赤外光(λ=800-1000nm)も吸収することができるようになります。さらに、Rh2O3の伝導キャリアは主にRhの拡がった4d軌道を動くため、3d電子の伝導が支配的なFe2O3よりもキャリアの移動度が大きくなり、光励起キャリアが失活しにくくなって、結果的に効率が上昇するという利点があります。

我々はこのRh置換Fe2O3薄膜を用いて光電気化学セル(湿式太陽電池)を作製しました。この素子に700-1000nmの波長域の光を照射すると、Fe2O3では殆ど光電流が生じないのに対し、Rh:Fe2O3では大きな光電流が流れることが分かりました。また、特筆すべきなのは、このRh:Fe2O3の可視光に対する応答性は、Fe2O3と比較して遜色ないということです。我々はさらなる効率の向上に向けて、試料の構造や組成の最適化に取り組んでいます。